帯状疱疹について
こんにちは、高血圧といびきの内科神保町駅前 院長の山須田です。
毎年春先は生活環境の変化や寒暖差などストレスが多くなり、帯状疱疹を発症する方を散見します。
年齢が50歳以上の方、免疫抑制状態(糖尿病、悪性腫瘍で化学療法中、ステロイドや免疫抑制剤使用中など)の方は皮膚のピリピリした痛みには要注意です。若い方でも疲労が重なると発症することがありますので油断は禁物です。
本日はその帯状疱疹について、概要を解説いたします。
帯状疱疹とは
水痘・帯状疱疹ウイルス(Varicella-Zoster Virus, VZV)によって引き起こされるウイルス性感染症です。
このウイルスは、初感染時には「水ぼうそう(水痘)」として発症し、その後神経節に潜伏感染を続け、加齢やストレス、免疫低下などをきっかけに再活性化して「帯状疱疹」として再発します。
80歳までに約30%の人が帯状疱疹を経験します。
帯状疱疹の症状
①前駆症状
ピリピリ、チクチクした痛みやかゆみ、違和感、しびれ感を生じます。
痛みは次第に増強し、焼け付くような・刺すような痛みに変化します。
②浮腫様紅斑・水疱形成
前駆症状から数日~1週間ほどしてデルマトーム(dermatome、神経支配領域) に一致した浮腫様紅斑が出現します。主に胸・腹部・顔面(三叉神経領域)に生じることが多いです。
紅斑は小水疱の集族となり、破れてびらん→痂皮形成し通常であれば数週間以内で治癒します。
③神経痛
皮疹と同部位に神経痛を生じます。1ヶ月以内に軽減・消失することが多いですが、特に高齢者の場合疼痛が長期にわたって残ることがあり、帯状疱疹後神経痛(PHN)と呼ばれます。
帯状疱疹の原因
加齢、ストレス、免疫抑制などがVZV再活性化の原因とされます。
糖尿病、悪性腫瘍で化学療法中、ステロイドや免疫抑制剤使用中の方は注意が必要です。
帯状疱疹の合併症
①眼合併症
三叉神経第1枝(眼神経)領域の帯状疱疹では,結膜炎・角膜炎・強膜炎・虹彩炎・眼筋麻痺などの眼合併症を認めることがあり、眼科受診が必要となります。
鼻背・鼻尖部・鼻翼に皮疹がある場合は眼合併症の合併率が高い(Hutchinson徴候)ので注意が必要です。
②Hunt症候群
顔面神経節に潜伏感染した場合、顔面神経麻痺を来たすことがあります。耳介の帯状疱疹は顔面神経麻痺に合併しやすく、耳鼻科受診が必要となります。
③その他
高熱、頭痛嘔気、前額部発症の場合、ウイルス性髄膜炎を合併することがあります。臀部下方や外陰部発症では膀胱直腸障害を来たす事があり注意が必要です。
帯状疱疹の治療薬
発疹出現後72時間以内、少なくとも5日以内に抗ウイルス薬の内服を開始します。バルトレックスまたはファムビルまたはアメナリーフを7日間内服します。重症例ではゾビラックスの点滴を行う場合があります。ヘルペス性角膜炎を伴う場合は、眼科受診のうえでゾビラックス眼軟膏を使用します。
鎮痛薬にはNSAIDs、カロナール等を内服します。神経障害性疼痛に対しては、リリカ・タリージェ・サインバルタ・トラマール・ノイロトロピン等を内服して緩和します。
抗ウイルス薬が何らかの理由により使用できないなどやむを得ない場合には、漢方治療を選択することもあります。発症初期であれば越婢加朮湯および五苓散、亜急性期は竜胆瀉肝湯を使用することがあります。急性期以降の体力低下に対して補中益気湯を使用する場合もあります。
帯状疱疹の予防
帯状疱疹の予防ワクチンには、①生ワクチン(乾燥弱毒生水痘ワクチン)と②不活化ワクチン(シングリックス)の2種類があります。
乾燥弱毒生水痘ワクチンは1回接種で予防効果はおよそ50~60%、PHN予防効果は66%程度です。帯状疱疹予防ワクチンとしての対象者は免疫異常・免疫抑制状態ではない50歳以上の方です。
シングリックスは2回接種で予防効果はおよそ90%、PHN予防効果は89%程度です。免疫抑制患者を含む50歳以上の方、または帯状疱疹発症リスクが高いと考えられる18歳以上の方が接種対象です。
<参考文献>
帯状疱疹診療ガイドライン2025
MSDマニュアル家庭版16. 感染症/ヘルペスウイルス感染症/帯状疱疹
神保町・九段下周囲にお住まいの方、ご勤務中の方で「もしかして帯状疱疹かも?」とご心配の方は当院までご相談ください。