経口GLP-1受容体作動薬「オルフォグリプロン」第3相試験(ACHIEVE-1)結果
2025年6月20日、第85回米国糖尿病学会(ADA2025)において、経口GLP-1受容体作動薬「オルフォグリプロン(orforglipron)」の国際共同第3相試験(ACHIEVE-1)の結果が発表されました。
オルフォグリプロンは、飲食や飲水の制限なしに服用できる初の経口GLP-1受容体作動薬です。
今回の試験では、薬物治療歴のない2型糖尿病患者(559名、平均HbA1c 8.0%、BMI 23以上、平均体重90.2kg)を対象とし、主要評価項目である40週後のHbA1c変化量は以下の通りでした。
- 3mg/日群:-1.24%
- 12mg/日群:-1.47%
- 36mg/日群:-1.48%
- プラセボ群:-0.41%
40週時点での平均HbA1cはオルフォグリプロン群で6.5〜6.7%となりました。
副次評価項目の体重減少については以下の通りで、40週時点でプラトーに達しておらず、さらなる減少が期待される結果でした。
- 3mg/日群:-4.7%(-4.4kg)
- 12mg/日群:-6.1%(-5.5kg)
- 36mg/日群:-7.9%(-7.3kg)
- プラセボ群:-1.7%(-1.5kg)
主な有害事象は軽度から中等度の消化器症状(下痢、悪心、消化不良、便秘、嘔吐)で、ほとんどが用量漸増中に発現しました。重度の低血糖は認められず、有害事象による投与中止はオルフォグリプロン群で4.4〜7.8%、プラセボ群で1.4%でした。
他の経口GLP-1作動薬との比較・位置づけ
セマグルチド経口製剤(リベルサス)は、起床空腹時に水120ml以下で服用後30分の絶食が必要ですが、オルフォグリプロンは食事・飲水制限なく服用可能であり、利便性に優れています。
オルフォグリプロンのHbA1c低下効果は低用量で十分であり、高用量での効果は頭打ちになる可能性があります。
一方体重減少効果については、高用量になるほど効果も高いようです。体重減少効果は高用量リベルサス(14mg/日)を上回る可能性が示唆され、肥満症治療薬としての活用も期待されます。
チルゼパチド(マンジャロ)注射薬ほどの体重減少効果はさすがに期待できませんが、注射薬が苦手な方にとっては有力な経口治療の選択肢となる可能性があります。
引用文献
Orforglipron, an Oral Small-Molecule GLP-1 Receptor Agonist, in Early Type 2 Diabetes (ACHIEVE-1 Trial)
Julio Rosenstock et al. N Engl J Med. 2025 Jun 21.