降圧薬に関するQ&A
こんにちは。高血圧といびきの内科 神保町駅前 院長の山須田です。
今回は、患者様からよくいただく「降圧薬(高血圧の薬)」に関するご質問にお答えします。
(1)降圧薬は一度飲み始めたら、ずっとやめられないのでしょうか?
必ずしもそうとは限りません。
減塩や運動、減量といった生活習慣の改善がうまくいけば、薬を減らしたり中止できるケースもあります。
他にも、Ⅰ度高血圧で気温の温かい季節に血圧が自然と下がり、一時的に休薬するケースや、ストレスが原因で一時的に高血圧になっていた方がストレス軽減により血圧が正常化したケースなどもあります。
しかし、高血圧は一般的に進行性の病気です。血管の老化防止の観点からは長期的に治療すべき疾患です。また、心筋梗塞や脳卒中、腎不全、網膜症などを合併している場合は降圧薬が治療の中心を担っている場合もあります。
薬を減らす・やめる判断は必ず主治医と相談して決めましょう。
(2)降圧薬の副作用は?
多くの方は副作用なく服用できますが、血圧を下げるペースが速すぎると「立ち眩み」「めまい」「倦怠感」などの症状が出る場合があります。薬の調整で対応できますので、気になる症状があれば遠慮なくご相談ください。
その他、薬の作用機序により、次の副作用が出る場合があります。
・Ca拮抗薬:足のむくみ、ほてり、歯肉の腫れ、逆流性食道炎の悪化(既往歴ある方)
・ARB/ACE阻害薬:高カリウム血症、血管浮腫、空咳(ACE阻害薬のみ)
・利尿薬:低カリウム血症、高尿酸血症、脱水
・β遮断薬:徐脈、倦怠感、抑うつ傾向、手足の冷え
(3)薬を飲み忘れてしまった場合はどうすればよいですか?
思い出してすぐなら、通常通り服用して構いません。次の服用時間が近ければ、飲み忘れた分はスキップして次回から通常通り内服してください。
※2回分をまとめて飲むのは危険ですので、絶対におやめください。
(4)私は血圧が高めのほうが体調が良い気がします。それでも薬で下げたほうがいいのですか?
高血圧が長期間続くと、脳の血流を調整する機能(脳血流自己調節)が高血圧に慣れてしまい「高血圧順応」状態になります。この状態に対して降圧薬により血圧を下げ始めた時、立ち眩みや倦怠感などを感じやすく、血圧高めの方が調子が良いと主観的に感じてしまう要因になっています。
しかし、高血圧に“慣れている”からといって、動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中のリスクが下がるわけではありません。むしろ血管のダメージは蓄積していきます。
そのため、当院ではなるべく体に負担をかけないよう「ゆるやかな降圧」を心がけて治療を進めています。ご不安なことは遠慮なくご相談ください。
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高血圧は症状がなくても、知らぬ間に体内で進行する疾患です。適切な治療と生活習慣の見直しで、将来の脳卒中や心筋梗塞を防ぐことができます。 神保町・九段下近隣で高血圧にお悩みの方は、ぜひ当院まで