点鼻インフルエンザワクチン「フルミスト」のご案内
フルミストとは
フルミストは、鼻にスプレーするタイプのインフルエンザワクチンです。弱毒化したインフルエンザウイルスを鼻の粘膜に噴霧し、自然感染に近い形で免疫(特に粘膜免疫)を獲得します。
針を使わないため、注射が苦手なお子さまにも接種しやすい、痛みのないワクチンです。
接種対象と回数
対象年齢:2歳~18歳(日本での適応)
回数:1シーズンにつき1回
接種できない方:以下の方は接種できません。
・発熱中または重篤な急性疾患がある方
・本剤成分でアナフィラキシーを起こしたことがある方
・免疫不全、免疫抑制剤使用中、無脾症、中枢神経系のバリアー異常がある方
・妊婦・授乳中の方
・重症喘息の方
・重度のゼラチンまたは卵アレルギーがある方
・アスピリン内服中の方
有効性
不活化インフルエンザワクチンと比べ、効果に有意差はないとされています(日本小児科学会)
臨床試験での有効率はおよそ20~30%程度で、流行株やシーズンによって効果にばらつきがあります。
副反応と注意点
よくみられるのは鼻水・鼻閉・咳・のどの違和感などです。まれに発熱や倦怠感が出ることもあります。
接種後1~2週間は鼻腔からワクチン株が排泄されることがあり、免疫不全者や妊婦との濃厚接触は避けた方が望ましいとされています。
抗インフルエンザ薬を前後に使用すると効果が弱まる可能性があるため、その場合は不活化ワクチンを選択してください。
生ワクチンを含む他のワクチンとの接種間隔に制限はなく、同時接種も可です。
不活化ワクチンとの比較
フルミスト | インフルエンザHA | |
ワクチンの種類 | 経鼻生ワクチン | 不活化ワクチン |
対象年齢 | 2歳~18歳 | 生後6ヶ月~ (※当院では3歳以上から受付) |
接種回数 | 1回 | 13歳未満…2回 13歳以上…1回 |
投与方法 | 鼻にスプレー | 皮下注射 |
特長 | 粘膜免疫も誘導する | 幅広い年齢で使用可能 |
主な副反応 | 鼻水・鼻づまり等 | 注射部位の腫れや痛みなど |
注意点 | 重症喘息、免疫不全、妊婦、アスピリン内服中は不可 | 通常の注意事項 |
まとめ
フルミストは、
・1シーズン1回の接種でよい
・注射の痛みがなく、針が苦手なお子さまにも適している
・液性免疫(IgG)だけでなく粘膜免疫(IgA)も誘導し、長期的な予防効果が期待できる
といった利点があります。
ぜひ接種をご検討ください。