漢方とダイエット③防已黄耆湯
防已黄耆湯はシリーズ①②で取り上げた防風通聖散、大柴胡湯とは少し性格の異なる漢方です。ダイエット漢方として取り上げていますが、実際の治療対象は脂肪ではなく水滞です。
構成生薬は防己、黄耆、蒼朮(または白朮)、生姜、大棗、甘草の6種とシンプルです。
出典は古方の代表的著書『金匱要略』です。
防風通聖散や大柴胡湯が実証向けの処方であるのに対し、防已黄耆湯は中間~虚証向けの処方です。
補気・利水・抗炎症・抗アレルギー作用があり、下腿浮腫や関節水腫を伴う変形性膝関節症の治療に用いられます。総じて、水を中心とした代謝異常に対する治療といえます。補剤なので効き目はゆっくりでマイルド、即効性を期待して使う漢方ではありません。
「防已黄耆湯」はどのような人に向いている?
このような体質の方に適しています。
・食べてないのに水太りする、色白でむくみやすい。
・運動は疲れるから苦手。汗っかき、下腿浮腫や膝関節痛がある。
現代研究における「防已黄耆湯」
変形性膝関節症のKnee Society Score改善および関節液貯留減少効果が確認されています。
動物実験では皮下脂肪の蓄積抑制効果が認められていますが、肥満そのものに対する効果は限定的です。
副作用
比較的安全性の高い処方ですが、構成生薬の一部に副作用があります。
甘草⋯偽アルドステロン症(低カリウム血症)
黄耆⋯過敏反応(発疹・かゆみ)
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