睡眠時無呼吸症候群と緑内障の関係

2025年12月25日

閉塞性睡眠時無呼吸症候群（OSA：Obstructive Sleep Apnea）は、これまでに多くの疾患との関連が指摘されています。具体的には、高血圧、糖尿病、慢性腎臓病、心房細動、心不全、脳卒中、大動脈解離、肺高血圧症、認知症などが知られています。さらに近年では、眼科領域においても緑内障との関連が注目されています。

OSAと緑内障の関連を示す研究

1. 「Obstructive sleep apnoea and glaucoma: a systematic review and meta-analysis」Eye (Lond) 2023 Oct;37(15):3065-3083.

46件の研究、約456万人を対象にメタ解析が行われました。OSA患者は緑内障発症リスクが有意に高く、オッズ比3.66（95%CI 1.70–7.90, p<0.01）と報告されています。

年齢・性別・高脂血症・高血圧・糖尿病などの交絡因子を調整後も、OSA患者の緑内障発症オッズは約40％高いことが示されました。

2. 「Associations of sleep apnoea with glaucoma and age-related macular degeneration: an analysis in the United Kingdom Biobank and the Canadian Longitudinal Study on Aging」BMC Medicine volume 19, Article number: 104 (2021)

英国UK Biobank（約50万人）およびカナダCLSA（約2.4万人）を対象に行われた国際コホート研究です。多変量調整後、OSA患者における緑内障発症リスクはUK Biobankでハザード比1.33（95%CI 1.10–1.60）、カナダCLSAでハザード比1.43（95%CI 1.13–1.79）と一貫してリスク上昇が認められました。

さらに同研究では加齢黄斑変性症（AMD）の発症リスクも評価され、OSA患者は健常者と比べてハザード比約1.39と、こちらも有意なリスク上昇が示されています。

3. 「Long-term effects of obstructive sleep apnea and its treatment on open-angle glaucoma: a big-data cohort study」JCSM, Published Online:February 1, 2023

この研究では、OSA患者は原発開放隅角緑内障のリスクが上昇（HR 1.42, 95%CI 1.19–1.69）することが示されました。一方で、CPAPなどでOSA治療を受けた群ではリスクが低下（調整ハザード比0.71, 95%CI 0.52–0.96）しており、適切な睡眠時無呼吸症候群の治療が眼の健康維持にも有益である可能性が示唆されます。