新しいコレステロール治療薬「ネクセトール®」について
2025年11月21日、高コレステロール血症の新薬「ネクセトール®(一般名:ベムペド酸)」が発売されました。ネクセトールはこれまでの治療薬では十分に効果が得られなかった方や、副作用で薬を続けられなかった方にとって待望の選択肢です。
コレステロール治療においては「スタチン」が標準的に使用されていますが、筋肉痛・肝機能障害といった副作用のために継続できない方も稀ながらいらっしゃいます。ネクセトールはそうした患者さんに適した新しい経口の高コレステロール治療薬です。
どのように効くのか?
ネクセトールはATPクエン酸リアーゼ阻害薬という種類の薬で、体内で「コレステロールを作る工場」の上流部分をブロックします。
従来のスタチンがHMG-CoA還元酵素を阻害するのに対し、ネクセトールはそのさらに前段階でLDLコレステロールの生成を抑制します。
また、肝臓でのみ活性化される仕組みを持つため、骨格筋では作用しにくく、スタチンで問題となりやすい筋肉の副作用が少ないことが特徴です。
臨床試験での効果
・日本での試験(CLEAR-J試験)
スタチンが効きにくい、または副作用で使用できなかった日本人患者さんを対象にした試験では、12週間の服用でLDLコレステロールが約25%低下しました。
・海外での大規模試験(CLEAR Outcomes試験)
約14,000人を対象とした国際試験では、悪玉コレステロールを20%以上低下させただけでなく、心筋梗塞や脳卒中などの重大な心血管イベントを13%減少させる効果も確認されました。
さらに炎症マーカー(hsCRP)が低下したことから、血管の炎症を抑える効果も示唆されています。
副作用と注意点
全体として安全性は良好ですが、注意すべき点もあります。
・高尿酸血症(5%以上):痛風既往のある方は注意が必要です。
・四肢の痛み:ふくらはぎの痛みや腫れが出た場合は受診してください。
・肝機能・腎機能の異常:頻度は低めですが、定期的なフォローが必要です。
・妊婦・妊娠している可能性がある方・授乳婦は使用できません。
どんな方に向いているか?
・家族性高コレステロール血症でスタチン最大用量でもLDLコレステロールが高い方(併用)
・副作用(筋肉痛・肝機能障害)があり、スタチン内服継続できなかった方
こうした患者さんにとって、飲みやすい錠剤タイプの新薬として有力な選択肢となります。
まとめ
ネクセトールは国内初のATPクエン酸リアーゼ阻害薬として承認されたコレステロール治療の新薬です。
・LDLコレステロールを20〜25%低下
・心筋梗塞や脳卒中など重大な心血管イベントを減少
・筋肉への副作用が少なく、スタチン不耐の方でも使いやすい コレステロール治療でお悩みの方は、ぜひ当院(高血圧といびきの内科神保町駅前)までご相談ください。


