不眠症治療薬「ボルズィ®」のご紹介
目次
不眠症治療薬の新薬「ボルズィ®(成分名ボルノレキサント)」をご紹介します。
ボルズィはベルソムラ、デエビゴ、クービビックに続き4剤目のオレキシン受容体拮抗薬です。2025年8月承認、同年11月27日発売。
オレキシン受容体拮抗薬は不眠症治療薬の一つで、覚醒に関与するオレキシン受容体(OX1R・OX2R)への結合阻害により自然な睡眠を促します。
ボルズィの特徴は、他の3剤に比べて最高血中濃度到達時間(Tmax)が非常に短く(Tmax=0.5時間)立ち上がりが早い点、そして半減期(T1/2)が短い(T1/2=2.13時間)ことから翌朝への持ち越しが少ない点です。
もう一つの特徴として、持ち越しが少ないことから自動車の運転等の危険を伴う機械の操作に関して、「適否を慎重に判断」となっていることが挙げられます(他の睡眠薬は「従事不可」)。ただし眠気等があらわれた場合は「従事不可」となります。
入眠障害が中心で翌日に薬が残ると困る方には、ボルズィは良い選択肢の一つかと思います。
一方で中途覚醒がある場合は、半減期がもう少し長いクービビック(T1/2=6.6時間)の方が良いかもしれません。
ボルズィの主な用法用量と注意点は以下の通りです。
・用法用量:1日1回5mgを就寝直前に内服。症状により適宜増減、最大1日1回10mg。
・副作用:傾眠(3%以上)、悪夢(1~3%)等
・薬物相互作用:CYP3A4を強く阻害する薬剤(イトラコナゾールなど)との併用は禁忌。中等度のCYP3A4阻害薬との併用時は2.5mg/日に減量する。
・食直後の服用は入眠効果の発現が遅くなる(Tmaxが1時間遅延)恐れがあるため避ける
・Child-Pugh分類Cの重度肝機能障害には禁忌
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神保町・九段下周辺にお住まいもしくはお勤めで、不眠症でお困りの方は「高血圧といびきの内科神保町駅前」までご相談ください。


